2015年7月10日(金)上野ゼミ 絶望を分かち合う言葉―歌人・鳥居さんを迎えて

フェミニズム、社会学が専門の上野千鶴子さんが主催しているゼミです。
歌人の鳥居さんが朗読パフォーマンスも含めてお話しくださいます。
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第24回 上野ゼミ 絶望を分かち合う言葉―—歌人・鳥居さんを迎えて
日時・2015年 7 月10 日(金)

開場 午後5:50
ゼミ 6:00-8:00

・会場・武蔵野タワーズ スカイゲートタワー2階 集会室
JR三鷹駅北口より徒歩2分

・出演

鳥居(歌人)

岩川ありさ(現代日本文学、クィア批評)

上野千鶴子

概要

 鳥居という歌人がいる。小学校 5 年生のときに母の自死を目撃し、深い精神的外傷を負った。育てられた施設では虐待を受け、義務教育の機会を奪われた。その後、親族からの暴力を避けるためDVシェルターに暮らしていた頃、鳥居は、図書館で読んだ短歌に魅せられ、短歌の創作をはじめる。 2012 年、現代歌人協会全国短歌大会で佳作 ( 穂村弘・選) に入選、2013 年3 月には短編小説「エンドレス シュガーレス ホーム」(星野智幸・選)で路上文学賞を受賞した。

 鳥居の作品をはじめて読んだときに、一つの言葉を思い出した。「我ひとり逃れて汝に告げんとて来れり」というヨブ記の一節である。メルヴィルの小説『白鯨』のエピローグに引用され、大江健三郎が「 20 世紀最大の創作原理」と評したように、 20 世紀において、文学作品は、それだけで一つの証言でもあり、同時に、証言が持つ複雑さを示しうる言葉としても機能してきた。しかし、鳥居の創作は、証言を通じて生きづらさを抱えた当事者たちが結びつく時代の新しい創作原理をも映してもいるのではないだろうか。

 脳性マヒの当事者で、小児科医の熊谷晋一郎は、「「希望」の反対語は「絶望」ではない」という。熊谷は、「絶望を分かち合うことができた先に、希望があると述べる。未曾有の出来事、人災が続く時代において、絶望を分かち合う言葉を見つけること。このことが 21世紀の文学の創作原理になるとすれば、鳥居さんの短歌は紛れもなく絶望を分かち合うことで生き延びる道を模索するものである。今回の上野ゼミでは、絶望の中で歌うことで生をつなぐ鳥居の短歌の世界を紹介したい。(岩川ありさ)